テルレスの青春 ----★
友人に教えてもらった映画でしたが見た当初は私には難解だった。ただ感情の端の方が、物語…というかテルレスの思想の核心部分にチリチリかすってるだけな感覚だった。
数年ぶりに見てみたら見入ってしまいました。テルレスの言動1つ1つがドカンドカンと心に響きます。虚数を学問ではなく存在として捉えてしまうテルレス。他人にとってみればそんなテルレスの言動はまるで意味不明な哲学のようだ。友人のバイネベルグはテルレスの疑問を理解しつつも「それは数学界のお約束だから」と割り切れる。そんな彼が大人に見えてしまう不思議。つまりは大人の社会ってそういうものなんだ…と思える。理不尽なんだ。テルレスは純粋すぎるからいちいちそこで立ち止まってしまうんじゃないかな。でも立ち止まってばかりでは進めない。バイネベルグはそんなテルレスのクソ真面目で純粋な所をすごく良く分かっていて、そのままでいい、むしろその理不尽を受け入れようものならお前はそこで崩壊する、というようなことをほのめかす。ズルい人だなぁ…。テルレスをただの真面目ちゃんとしていびりの対象にせずしっかり仲間にしてるあたり、頭も悪くないし単なるバカとも違う。そんなバイネベルグとライティングがバジーニをリンチし始める。テルレスはというとそれをただ傍観する。はじめは恐怖やとまどいから見てるしかできなかったのかとも思ったけど、それがテルレスなりの哲学に基づく行動だったんだから、すごい。見極めたかったとか、普通いえない。この人の精神は超越している…。でもすごく気持ちがわかる。世界が崩壊するんだと思ったけれど、続いている…。妥協で生きている感じ。わかる…すごくわかる。物語が進むにつれて、あんなに大人に見えたバイネベルグ達が小さく見えるから不思議だ。
テルレスの哲学だけじゃなく、男子だけの寄宿舎だからこそ生まれる男社会が本当に面白いです。夜中に抜け出す。落ちぶれた女と知り合う。ギャンブルする。普通に酒場に乗り込む。大人を馬鹿にする。性に目覚め始めてバランスがどこか安定しない少年達。優等生だけど裏で非行する少年達、というのがいいです。とても好きです。そして綺麗すぎる容姿、立ち振る舞い、純粋な悩みをもつテルレス、これこそが美少年だと心から納得しました。よく見つけてきたなぁこんな人。ためいき出るほど綺麗です。それで、監督がヴィスコンティじゃなくてよかったと思いました。バジーニがブサイクで良かった(笑)。美少年じゃ映画が別の方向に行っちゃうよ。
映画の最後、学校から数日失踪するテルレス。ここらへん、大好きです。彼は自分のコントロールが上手いなぁ。テルレスの発言に困惑する教師達も滑稽。だれもテルレスの意識に届かない。けどただ1人「彼は変わってますね」という発言に対して「そうですか?」と返したあの人!ちょっと感動しました。